柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

国家の罠の品格

sasaki_makoto2007-11-16

二〇〇五年九月七日付『毎日新聞』電子版

 衆議院広島六区に無所属で立候補しているライブドア堀江貴文社長は六日、東京都内の日本外国特派員協会で講演し、天皇制について「憲法が『天皇は日本の象徴である』というところから始まるのには違和感がある。歴代の首相や内閣が(象徴天皇制を)何も変えようとしないのは多分、右翼の人たちが怖いから」などと主張した。
 そのうえで日本の国家体制について「大統領制にした方がいい。特にインターネットが普及した世の中のスピードが速くなっている。リーダーが強力な権力を持っていないと対応していけない」と語った。


佐藤優「「神皇正統記から現代を読む」(中)堀江貴文の世界観と国体崩壊の危機」
『正論』二〇〇五年十二月号

天皇制を廃止し、大統領制にするという堀江氏の言説は、日本の国体を共和制に変更するということに他ならない。皇祖皇宗の伝統を断絶せよということだ。堀江氏と親しい武部勤自民党幹事長を含む党幹部がこの発言を非難したり、撤回を迫ったという話も聞かない。選挙後も堀江氏は自民党と良好な関係を維持している。
 堀江氏の国体変更に関する言説を容認する雰囲気が現政権にある。小泉自民党圧勝の陰で「共和制への誘惑」という種がまかれている。