柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

仮象と現実

マッハ "Erkenntnis und Irrtum"このような要素を考察してみると、この単純な状況においては、仮象と現実への問いはその意味を失ってしまう。 マッハ "Die Analyse der Empfindungen und das Verhaltnis des Physischen zum Psychischen"仮象と現実の対立と…

ゾロアスター、モーツァルト、ニーチェ

ムラデン・ドラー「音楽が愛の糧であるならば」 スラヴォイ・ジジェク+ムラデン・ドラー『オペラは二度死ぬ』(中山徹訳、青土社) 物語(『魔笛』)の筋はよく知られている。〈夜の女王〉は、暴君ザラストロにさらわれた娘のパミーナを救い出すように王子…

社会的諸交通形式

マルクス、エンゲルス "Deutsche Ideologie" 各個人、各世代が与えられたものとして見出す生産諸力、諸資本、社会的諸交通形式の総体は、哲学者たちが「実体」として、また「人間の本質」として思い描いたものの実在根拠であり、かれらが神格化したものの、…

渋谷・東横のれん街

渋谷パルコで購入。國分功一郎『暇と退屈の倫理学』朝日出版社紀伊國屋サザンシアターで東浩紀、津田大介。 村井紀『反折口信夫論』(作品社) 前掲の文章の中で柄谷氏は柳田の説く「固有信仰」や「自然村」とは、実はそうではなく、「歴史的に郷村制として…

折口信夫「砂けぶり」

折口信夫「砂けぶり」大正十三年、初出 井戸のなかへ 毒を入れてまはる朝鮮人―。 われわれを叱つて下さる 神々のつかはしめ だらう おん身らは 誰をころしたと思ふ。 陛下の御名において―。 おそろしい呪文だ。 陛下万歳 ばんざあい昭和十二年 井戸のなかへ …

交換と仮象

アドルノ「社会学と経験的研究」〔一九五七年〕 ホルクハイマー、アドルノ『ゾチオロギカ』(市村仁・藤野寛訳、平凡社)人類の運命を繰り広げる法則は、交換の法則である。つまり、交換行為は、相互に交換される財貨を、それと同等のもの、抽象的なものに還…

【東京裁判】柄谷行人を解体する41【=NAM裁判】

http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/philo/1329685190/ 【東京裁判】柄谷行人を解体する41【=NAM裁判】 1 :橋の下からコニャニチワ@メルトダウン船橋:2012/02/20(月) 05:59:50.89 0 2012年1月30日月曜日 「新たな“東京裁判”を」 柄谷行人 3.11以後まもなく、私…

田原総一朗「福島原発を襲った「二つの合併症」」 潮2011年6月号

田原総一朗「福島原発を襲った「二つの合併症」」 潮2011年6月号 僕はソフトバンクの孫正義さんと一緒に、福島原発の原子炉格納容器の設計に携わった後藤政志さんと、原子炉圧力容器の設計に携わった田中三彦さんに話を伺った。 設計当時に現場の最前線にい…

超越的と超越論的

イマヌエル・カント「純粋理性の理念の統制的使用について」 『純粋理性批判』(篠田英雄訳、岩波書店)[超越論的理念には]優れた、実際欠かすことのできない統制作用がある。それは悟性を、その規則によって定められたいくつかの道のりが交わるところにあ…

テオドール・W・アドルノ『自律への教育』 (中央公論新社)

テオドール・W・アドルノ『自律への教育 講演およびヘルムート・ベッカーとの対話 一九五九〜一九六九年』 (ゲルト・カーデルバッハ編、原千史+小田智敏+柿木信之訳、中央公論新社)市民社会はあまねく交換法則のもとにあり、交換とは計算上で「等価なも…

マルクス、エンゲルス『ドイツ・イデオロギー』(河出書房新社)

マルクス、エンゲルス『ドイツ・イデオロギー』(廣松渉訳、河出書房新社)言語と意識は同年齢であって、――言語は、実践的な、他の人間にとっても実在するが故にまた私自身にとってもはじめて実存する現実的な意識である。そして言語が生成するのは、実在と…

テリー・イーグルトン『なぜマルクスは正しかったのか』河出書房新社

テリー・イーグルトン『なぜマルクスは正しかったのか』(松本潤一郎訳、河出書房新社)だが、後にマルクスは、これらの段階をことごとく入れ子状にはめ込んでゆくだろう「永続革命」を推奨するのではなく、この信念を捨てたように思われる。われわれの中の…

世界革命

マルクス一度目は悲劇として、二度目は茶番として。 イマヌエル・ウォーラーステインほか『反システム運動』(大村書店)世界革命は、これまで二度あっただけである。一度は一八四八年に起こっている。二度目は一九六八年である。 ドゥルーズ/ガタリ『千の…

中沢新一+國分功一郎「〈原子力の時代〉から先史の哲学へ」

ドゥルーズ=ガタリ『千のプラトー』(河出書房新社)(フランス小説は)点を形成することにばかり時間をかけ、線を、活動的な逃走線を、肯定的な脱領土化の線を引こうとしない。一つは輪郭のはっきりした硬質な切片性の線、もう一つは分子的な切片性の線。…

2.11全国一斉さようなら原発1000万人アクション

昨日、渋谷パルコで購入。 atプラス11 大友克洋『KABA2』講談社 テリー・イーグルトン『なぜマルクスは正しかったのか』河出書房新社 代々木公園。大江健三郎演説。associations.jpに高澤秀次、池田雄一氏ら posted at 13:38:57柄谷行人夫妻到着。演説は沢地…

アベルは寄留者

アウグスティヌス「神の国(4)」『アウグスティヌス著作集14』(大野春子・岡野昌雄訳、教文館)ところでこの世界の市民(カイン)が生まれた後に、この世界にあって寄留者(アベル)が……生まれた。そこでカインについては、彼は国を建てたと書かれている…

バビロニアのくじ

ホルへ・ルイス・ボルヘス『伝奇集』(鼓直訳、岩波文庫)(バビロニアの)くじが偶然の強化であり、混沌(カオス)の宇宙秩序(コスモス)への定期的浸出でありとするなら、偶然が介入すべきは、くじ引きの一段階ではなくすべての段階であるのがふさわしく…

ランシエール、ドゥルーズ

ジャック・ランシエール『イメージの運命』(堀潤之訳、平凡社) そして、デュシャンによる衰えることのない小便器が、スティーグリッツがその上から写真を撮った台座を介して、再び務めを果します。http://d.hatena.ne.jp/tricheur/20100318/ ランシエール…

スピノザ『神学・政治論』

スピノザ『神学・政治論 下』(畠中尚志訳、岩波文庫) ヘブライ人たちは、エジプト脱出後はもはや他のいかなる民族の法[jura]にも拘束されず、……かくして自然状態に立ち帰ったのであり、彼ら一同がもっとも信頼するモーセの助言にしたがって、彼らの権利…

私自身であろうとする衝動

柄谷行人『世界史の構造』(岩波書店)それゆえロマン主義は両義的である。それはノスタルジックな復古主義という側面と、資本=国家の批判という側面を同時に持ったのである。一般的には前者も面が支配的であるが、たとえば、イギリスのロマン派では後者の…

栗原信義さんのバイクに乗せてもらいました。

昨日、吉祥寺パルコで購入。森敦『意味の変容・マンダラ紀行』講談社文芸文庫 田口卓臣『ディドロ 限界の思考』風間書房 ジュパンチッチ『リアルの倫理』河出書房新社 高城剛『モノを捨てよ世界へ出よう』宝島社 アドルノ、ホルクハイマー『ゾチオロギカ』平…