柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

バビロニアのくじ

ホルへ・ルイス・ボルヘス『伝奇集』(鼓直訳、岩波文庫

バビロニアの)くじが偶然の強化であり、混沌(カオス)の宇宙秩序(コスモス)への定期的浸出でありとするなら、偶然が介入すべきは、くじ引きの一段階ではなくすべての段階であるのがふさわしくはなかろうか。

……現実には、くじ引きの回数は無限である。

無知な者は、無限のくじ引きは無限の時間を要すると思っている。


アレンカ・ジュパンチッチ『リアルの倫理 カントとラカン』(冨樫剛訳、河出書房新社

 カントが「思念上の実体」――発見的虚構、理性概念、あるいは統制理念――と呼ぶ超越論的理念は、『純粋理性批判』の第二部、超越論的弁証論で扱われる領域に属する。