柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

丸山眞男「現状(status quo)維持と「現状打破」」

sasaki_makoto2008-07-19

丸山眞男 話文集 1』(みすず書房

どこの国でもファシズムは大資本の圧迫とプロレタリアートの勃興によつて挟撃された中間層の運動として出発する。だからそれは反資本的なプログラムを掲げ、かくて広汎な大衆を吸引して現実的勢力を増す。しかしそれが現実的勢力を益すと共にそれは資本によつて利用され、そのプログラムは資本に都合のいゝやうに湾曲され、つひに全く資本の最も強力な防衛形態となるんだ。日本でも五・一五事件とか血盟団事件とか神風隊事件とかは反資本的色彩を帯びた初期ファシズム運動の表現だつた。