柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

天皇制をいつ廃止するか

飯田泰三「解題」『丸山眞男講義録[第五冊]』(東京大学出版局)

 その点、「敗戦後、半年も思い悩んだ揚句、私は天皇制が日本人の自由な人格の形成にとっての致命的な障害をなしている、という帰結にようやく到達」して「超国家主義の論理と心理」を書くことで戦後の再出発をしたと述べる丸山(「昭和天皇をめぐるきれぎれの回想」一九八九年)は、まさに対蹠的な位置にある(和辻の天皇制護教論の成立過程については、拙稿「『偶像再興』における和辻哲郎の「転向」」『批判精神の航跡』〔筑摩書房〕所収、参照)。