柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

キングはなぜそう呼ばれるのか

sasaki_makoto2006-06-11

カントが中国について述べている。

英語のキング(王)は中国語の金(キン)に由来するのか。


カント『永遠平和の為に』(高坂正顕訳、岩波文庫

 この大國を、それが自ら自己を呼ぶところの名前でもつて記さうとするならば、(即ちヒナChinaであつて、シナSina或はそれに類似した發音ではない、)ゲオルギィの「チベットの文字」、六五一ページから六五四頁、特に註B以下を参照されたい。――もともとこの國は、ペテルスブルグのフィッシェル教授の意見によれば、自己を呼ぶための特定の名前を有してゐたのではない。しかし昔から今に到るまで、最も普通の名前はキンKin即ち黄金といふ言葉のそれである、(黄金のことをチベット人はセルSerといふ語で表現してゐる、)だからその皇帝は黄金の王(世界における最も壮麗な國の王)と呼ばれるのである。この言葉は恐らくこの國自身の中に於てはヒンChinと發音されるのであるが、イタリヤの傳道者達によつて(その喉音のために)キンKinといふ風に發音されたのであるであらう。