2007-05-09 アジアの停滞 西嶋定生「東洋史学の成立過程と課題」 『西嶋定生 東アジア史論集 第五巻 歴史学と東洋史学』(岩波書店)このようなヨーロッパのアジア認識は、啓蒙時代のモンテスキューにはじまり、ヘーゲル、マルクス、マックス・ウェーバーなどを経て、現在でもたとえばウィット・フォーゲルのアジア観などにひきつがれているものである。 彼らのアジア観はそれぞれ相違した内容をもつものであるが、その共通するところは、ヨーロッパには自由があるがアジアにはそれを欠き、かつそこには専制君主支配が厳存していて、社会は古代から現代にいたるまで進歩することなく停滞している、という認識である。