柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

永久平和は可能か

『世界の名著 ヘーゲル』(中央公論社

精神現象学 序論 山本信訳

法の哲学 藤野渉・赤澤正敏訳

第一部 抽象的な権利ないし法
第二部 道徳
第三部 倫理

 永久平和はしばしば、人類が近づいてゆかねばならない理想として要求される。こうしてカントは、国家間の争いを調停すべき君主同盟を提案したし、神聖同盟もほぼこうした機関たろうとする意図をもっていた。しかし国家は個体であって、個体性には否定のはたらきが本質的に含まれている。それゆえ、たとえ一群の国家が一つの家族に作りあげられるとしても、この結合体は個体性としては、おのれにとって対立物を作り出し、敵を産み出すにちがいない。

 カントは国家連合による永久平和を思いえがいた。彼は国家連合が、あらゆる争いを仲裁してくれ、各個別国家によって承認された威力として、あらゆる軋轢を調停してくれ、したがって戦争による解決を不可能にしてくれるだろうと考えた。しかし、この考えが前提としている諸国家の同意は、道徳的、宗教的な根拠や考慮に基づくにせよ、なんといっても所詮は、特殊的な主権的意志に基づくものであろうし、そのためどこまでも偶然性にまとわれたものであろう。


ヘーゲル自然法の学問的取り扱い方について」(藤野渉・赤澤正敏訳)

 持続的な凪は海を腐敗させるだろうが、永久平和は言うまでもなく、持続的な平和でさえも、諸国民を腐敗させるだろう。


有賀文昭 http://d.hatena.ne.jp/argfm/20100228
池田剛介 http://twitter.com/kosukeikeda
「癒しの島」から「冷やしの島」へ http://earthcooler.ti-da.net/


トマス・クーンの「科学革命の構造」は惑星の公転の事かと。


ヘーゲル "Dissertatio philosophica de Orbits Planetarum"
『惑星軌道論』(惑星の軌道に関する哲学的論考、村上恭一訳、法政大学出版局

I ニュートン天文学の原理の批判的論究
II 太陽系の基礎的原理の哲学的叙述


メルロ=ポンティ "Phenomenologie de la Perception"
『知覚の現象学』(1945年、中島盛夫訳、法政大学出版局

序文

反省は世界から退いて、世界の根拠としての意識の統一に向うのではない。もろもろの超越がほとばしり出るのを見るために、後退するのであり、われわれを世界に結びつけている志向性の糸を現出させるために、それを緩めるのである。反省は世界を、尋常な逆説的なものとして、露わにするのだから、反省こそが世界についての意識なのである。フッサールの「超越論的なもの」はカントのそれとは違う。そしてフッサールはカント哲学を、それがわれわれの世界に対する関係を超越論的演繹の原動力として利用しておきながら、世界について驚くこともせず、主観を世界に向っての超越として理解するかわりに世界を主観に内在せしめている、という理由で、「世俗的な」(mondaine)哲学だと、非難している。

緒論 古典的偏見と現象への復帰
第一部 身体
第二部 知覚された世界
第三部 対自存在と世界における(への)存在


マルクスエンゲルス往復書簡(一) 1844年10月―1851年6月』(岡崎次郎訳、岩波文庫
マルクスエンゲルス往復書簡(二) 1851年7月―1852年12月』(岡崎次郎訳、岩波文庫
マルクスエンゲルス往復書簡(三) 1853年1月―1856年6月』(岡崎次郎訳、岩波文庫