交換の対象は女
ジュディス・バトラー『ジェンダー・トラブル フェミニズムとアイデンティティの攪乱』
(竹村和子訳、青土社)
ウッティングなどフランスの唯物主義フェミニストなら、性差は、物象化されたセックスの二極を精神を介在させずに繰り返すものだと言うだろうが、このような批判は、無意識という重要な次元――すなわち、抑圧されたセクシュアリティの場所として、主体の言説の内部に、主体の首尾一貫性を不可能にさせるものとして再登場するもの――を無視している。
抑圧されたものがふいに姿を現すことによって、この首尾一貫性は崩壊し、「アイデンティティ」が構築物だということだけでなく、アイデンティティを構築している禁止が無効であることも明るみにしていく。
『親族の基本構造』(レヴィ=ストロース)によれば、親族関係を強化すると同時に差異化する役目をする交換の対象は女であり、それは結婚という制度をつうじて、父系的な氏族からべつの父系的な氏族へと、贈与として与えられる。
コットの歴史分析が提起している問題は、基盤を無批判に受け入れた場合、「被抑圧者の回帰」が起こりうることである。
ウッティングは明瞭に述べていないが、前‐社会的(前‐異性愛的)契約を意志の統一体として――つまり、ルソーのロマン主義的な意味での一般的意志として――理解しているようだ。
7月29〜31日 『FUJI ROCK FESTIVAL'11』
THE CHEMICAL BROTHERS
Yellow Magic Orchestra
http://www.cinra.net/news/2011/03/01/001400.php