柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

若い読者よ! 柄谷行人厳選50冊

文芸文庫を推す 柄谷行人
近代文学は終った。それはもともと歴史的な産物
であり、それが夢見た永遠性などありはしなかった。
だが、そのために死を賭した悲喜劇が演じられた
時代があったということは、否定しえない事実である。
今となっては、私は哀惜の念をもって近代文学をふり
かえる。そして、文学とは近代文学にほかならないのだ、
と思う。ここに私は、文芸文学の中から、かつて愛読し
私自身を形成した作品の一部を選んだ。それらが
将来においてどのような意味をもつのか知らない。
しかし、若い読者よ、今後仮にも文学について云々
するなら、これらの本を読んでからにしてほしい。

講談社文芸文庫 創刊10周年記念


柄谷行人厳選50冊
単純な生活 阿部 昭
終りし道の標べに 安部公房
紫苑物語 石川 淳
思想としての東京 磯田光一
漂民宇三郎 井伏鱒二
由熙 ナビ・タリョン 李良枝
雨の音 宇野千代
桜島・日の果て・幻化 梅崎春生
白い人・黄色い人 遠藤周作
成熟と喪失 江藤 淳
妖・花食い姥 円地史子
万延元年のフットボール 大江健三郎
三匹の蟹 大庭みな子
中原中也 大岡昇平
日本近代文学の起源 柄谷行人
絶望の精神史 金子光晴
浅草紅団・浅草祭 川端康成
抱擁家族 小島信夫
不意の声 河野多恵子
信長・イノチガケ 坂口安吾
夕べの雲 庄野潤三
贋学生 島尾敏雄
自由の彼方で 椎名麟三
司馬遷 史記の世界 武田泰淳
魯迅 竹内 好
さようなら、ギャングたち 高橋源一郎
黒髪・別れたる妻に送る手紙 近松秋江
光の領分 津島佑子
波うつ土地・芻狗 富岡多恵子
仮想人物 徳田秋声
熊野集 中上健次
村の家・おじさんの話・歌のわかれ 中野重治
中原中也全詩歌集 上・下 中原中也
光と風と夢・わが西遊記 中島 敦
暗い絵・顔の中の赤い月 野間 宏
祭りの場・ギヤマンビードロ 林 京子
七・錯乱の論理・二つの世界 花田清輝
水 古井由吉
田紳有楽・空気頭 藤枝静男
横しぐれ 丸谷才一
蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ 室生犀星
われ逝くもののごとく 森 敦
ガラスの靴・悪い仲間 安岡章太郎
暗室 吉行淳之介
西行論 吉本隆明
上海 横光利一
戦艦大和ノ最期 吉田 満
サハリンへの旅 李恢
響きと怒り フォークナー 高橋正雄