「2001宇宙の旅」パンフレット、2500円
ジル・ドゥルーズ『シネマ2*時間イメージ』(法政大学出版局)
初期から何人かのアメリカの監督たちから影響を受けているとはいえ、小津安二郎は、最初に日本的な文脈で、純粋に光学的かつ音声的状況を展開する作品を作り出した(しかし彼がトーキー映画を手がけるのはかなり遅くなってから、一九三六年である)。
つまりキューブリックにおいては世界そのものが頭脳であり、『博士の異常な愛情』の輝く円形の大テーブル、『二〇〇一年宇宙の旅』の巨大なコンピュータ、『シャイニング』のオーヴァールック・ホテルのように、頭脳と世界との同一性が成立している。
小津安二郎が描いた「日常」への言及で、宮崎駿・高畑勲のアニメを思い出す。
日常、小津安二郎、「アルプスの少女ハイジ」「赤毛のアン」
非日常・時代劇、黒澤明、「ルパン三世」「もののけ姫」
原節子、ハイジ、アン「あら、そう言ったじゃないの」
笠智衆、おじいさん、ヨーゼフ、マシュウ「ほう、そうか」
「アルプスの少女ハイジ」は、小太りの娘がアルプスで歌う
「サウンド・オブ・ミュージック」のようだと思ってきたが、
小津安二郎の作品からの影響を考察すべきなのかもしれない。
おじいさんの姿は、笠智衆とはあえて対極的に設定されたかのようだ。