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批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

共産党宣言

マルクス エンゲルス "DAS KOMMUNISTISCHE MANIFEST" 『共産党宣言』(大内兵衛向坂逸郎訳、岩波文庫

一八七二年ドイツ語版への序文

特にコンミューンは、「労働者階級は、既成の国家機関をそのまま奪いとって、それを自分自身の目的のために動かすことはできない」という証明を提供した。(『フランスにおける内乱、国際労働者協会総務委員会の建言(アドレッセ)』を見よ。ドイツ語版一九ページ。岩波文庫版九〇ページ。ここにこの点のくわしい説明がある。)
http://d.hatena.ne.jp/sasaki_makoto/20100329

  ロンドン、一八七二年六月二十四日
                           カール・マルクス
                           フリードリヒ・エンゲルス

一八八三年ドイツ語版への序文

  ロンドン、一八八三年六月二十八日
                           F・エンゲルス

一八九〇年ドイツ語版への序文

  ロンドン、一八八二年一月二十一日
                           カール・マルクス
                           フリードリヒ・エンゲルス

  ロンドン、一八九〇年五月一日
                           F・エンゲルス

一八八八年英語版への序文

この有名な「ケルン共産党裁判」は、十月四日から十一月十二日までつづき、被告人のうち七名は、三年ないし六年の要塞禁錮刑をいいわたされた。

このように一八四七年には、社会主義中産階級の運動であり、共産主義は労働者階級の運動であった。

いかなる歴史的時期においても、経済的生産と交換の支配的な様式、およびそれから必然的に生れる社会組織が土台をなし、その時期の政治的ならびに知的歴史はこの土台のうえに築かれ、この土台からのみ説明される。

特にコンミューンは、”労働者階級は、既成の国家機関をそのまま奪いとって、それを自分自身の目的のために動かすことはできない”という証明を提供した。(『フランスにおける内乱、国際労働者協会総務委員会の建言(アドレッセ)』、シカゴ、チャールズ・H・カー社発行、を見よ。ここにこの点のくわしい説明がある。)

 本訳書は、マルクス資本論』の大部分の訳者であるサミュエル・ムーア氏によってなされたものである。

  ロンドン、一八八八年一月三十日
                           フリードリヒ・エンゲルス

一八九二年ポーランド語への序文

  ロンドン、一八九二年二月十日
                           F・エンゲルス

一八九三年イタリー語版への序文

  ロンドン、一八九三年二月一日
                           フリードリヒ・エンゲルス

Manifest der Kommunistischen Partei. Veroffentlicht im Februar 1848. Proletarier aller Lander vereingt euch. London. Gedruckt in der Office der ,,Bildungsgesellschaft fur Arbeiter'' von J. E. Burghard. 46, Liverpool Street, Bishopsgate. 〔8゜, 30 Seiten]
共産党宣言

 ヨーロッパに幽霊が出る――共産主義という幽霊である。

第一章 ブルジョアとプロレタリア

 今日まであらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である。

東インドとシナの市場、アメリカへの植民、諸植民地との貿易、交換手段やまた総じて商品の増大は、商業、航海、工業にこれまで知られなかったような飛躍をもたらし、それとともに、崩壊していく封建社会内の革命的要素に急激な発展をもたらした。

ギルドの親方は、工業的中産階級によっておしのけられ、異なる組合間の分業は姿を消して、個々の仕事場自身のなかの分業があらわれた。

工場手工業(マニュファクチャ)の代りに近代的大工業があらわれ、工業的中産階級の代りに、工業的百万長者、全工業軍の司令官があらわれた、すなわち近代ブルジョアである。

この生産手段と交通手段の発展がある段階に達すると、封建社会の生産や交換がおこなわれていた諸関係、農業と工場手工業(マニュファクチャ)の封建的体制、一言でいえば封建的所有関係は、そのときまでに発展した生産諸力にもはや適合しなくなった。

 これまでの下層の中産階級、すなわち小工業者、商人および金利生活者、手工業者および農民、これらすべての階級はプロレタリア階級に転落する。

 中産階級、すなわち小工業者、小商人、手工業者、農民、これらはすべて、自分たちの中産階級としての存在を破滅から守るために、ブルジョア階級と闘う。

第二章 プロレタリアと共産主義者
第三章 社会主義的および共産主義的文献
一 反動的社会主義
a 封建的社会主義
b 小市民的社会主義
c ドイツ社会主義または「真正」社会主義
二 保守的社会主義またはブルジョア社会主義
三 批判的・空想的社会主義および共産主義
第四章 種々の反対党に対する共産主義者の立場

 ドイツでは共産党は、ブルジョア階級が革命的にふるまうかぎり、いつでもブルジョア階級と共同して、絶対王制、封建的土地所有、および小市民派と闘う。
 ドイツは、しかし一瞬も、ブルジョア階級とプロレタリア階級との敵対的対立について労働者にできるだけはっきりした意識を生じさせるようにすることを怠らない。これは、ブルジョア階級の支配とともにかならず生みだされる社会的ならびに政治的諸条件を、ドイツの労働者がただちにそのまま武器としてブルジョア階級に向けることができるようにするためである。また、これは、ドイツにおける反動階級が倒れたのち、ただちにブルジョア階級自身に対する闘争がはじまるようにするためである。
 共産主義者は、その主要な注意をドイツに向けている。それは、ドイツがブルジョア革命の前夜にあるからであり、またドイツは、十七世紀のイギリスや十八世紀のフランスよりも、ヨーロッパ文明全般の、より進歩した諸条件のもとに、そしてはるかに発達したプロレタリア階級をもって、この変革を遂行するものであるからであり、したがってドイツのブルジョア革命は、プロレタリア革命の直接の前奏曲たりうるものと見なくてはならないからである。