柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

ヨーハン・ヤーコブ・ヴァーグナーの四つの図式

カール・シュミット『政治的ロマン主義』(みすず書房

全宇宙、全学問、全芸術を主体は一挙に抱き取る。その際の梃子は自然哲学の武器庫から取って来る。ここでもまた哲学的構成は、たといそれがヨーハン・ヤーコブ・ヴァーグナーにおけるように抑制もなく事物の経験的現実への一切の関心もなしに展開する構成の要求の投射であるように見えるとしても(88)、ロマン的ではない。幾何学的な線はロマン的ではなく、アラベスクがロマン的なのである。

(88)ヴァーグナーにあっては四つの図式のなかで円環的(あるいは楕円形的)に循環する。

(始源)は精神自然に分れる(この両者はふたたび、始源存在と一致する、しかし今は発展の全体をつらぬいている一者、すなわち宇宙に含まれる)。こうした四者関係は今やいたるところにあらわれる。たとえば歴史的所与としての国家は、I 土地関係(これは市民法的関係、すなわち)1人件、2物件、3生業、4所有の総体であり、人件はまた1国家、2市町村、3組合、4家族に分かれる等)。II 生活(感情生活と知的生活)。III 精神(司祭階級と学問)。IV 国家(国家法―1司法、2執行、3立法、4他の諸形式との関連に還元される。たとえば知的生産は1自己支配(すなわち人間社会に対する国家の支配、国家法等)、2家族、3身分、4住居、――身分は1国事、2商業、3手工業、4土地労働となる。土地労働は1鉱山、2林業、3耕作、4畜産、鉱山は1金属、2岩石、3土壌、4塩であり、林業は1濶葉樹、2針葉樹、3柳類、4灌木、耕作は1果樹、2葉菜、3茎菜、4根菜、畜産は1魚、2鳥、3猟獣、4家畜となる。個人のうちにひそむ悪は1支配欲、2所有欲、3自惚、4貪食である。
http://zs.thulb.uni-jena.de/receive/jportal_jparticle_00169430

野口雅弘「解説――「決められない政治」についての考察」

橋川文三は自らが強く魅了された保田與重郎ら『日本浪漫派』を分析するために、Politische Romantikの初版を丸山眞男から借り出した。