柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

暴力はどこからきたか

萱野稔人神里達博『没落する文明』(集英社新書

萱野 たとえば、なぜ人類は夫婦のもとで家族という形態をつくるのかという問題について、霊長類学者の山極寿一さんは『暴力はどこからきたか』のなかで、ゴリラやチンパンジーの研究から、子殺しの防止のためだという仮説を提起しています。

また、レヴィ=ストロースは『親族の基本構造』のなかで、結婚の原型は集団間での女性の交換にあると論じています。インセスト・タブー(近親相姦の禁忌)はその交換可能な女性をつくりだすためのものなのだ、と。