柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

翻訳者の使命

旧約聖書ヘブライ語、新訳聖書はギリシャ語で書かれているという。
日本で言えば、漢文で書かれた記紀万葉、
仮名で書かれた古今集大鏡に対応するだろうか。

ベンヤミンに「翻訳者の使命」という文章があったが
欧米で翻訳と言えば、基本的に聖書のドイツ語・英語などへの翻訳の事を
言っていたのではないかと思う。


田川建三『書物としての新訳聖書』(勁草書房

 なお、英訳では一頃(一九世紀末のAmerican Standard Version=ASVなど)「エホヴァ」(Jehovah)と書いていたことがある。これはヤハウェYHWH)という名前の母音を間違って読んだ結果出て来た近代の創作であるが(そう間違ったには間違っただけの理由があるけれども。なおエホヴァという表記はすでに一五一六年にラテン語の訳に登場するそうである)、それが英語に支配される地域では広く普及してしまったので、いまだに日本も含めてその地域ではユダヤ教キリスト教の神の名前は「エホヴァ(エホバ)」だと思っている人が大勢いる。