柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

抑圧されていた何かが回帰してきたもの

フロイト「不気味なるもの」

恐怖の要素とは、実は抑圧されていた何かが回帰してきたものなのである。


中沢新一『はじまりのレーニン』(岩波現代文庫

心の中にわきあがってくる欲動が、なにかの理由で表象されることがないままに排除されて、いつもは意識にのぼってこないのに、それがなにかのきっかけで主体の中に回帰してくる現象が、forclusion(排除)である。

折口信夫はこういう表象から排除されたものの意識の中への回帰をあらわすようなカミのあり方が、日本人にはとても大きな意味を持ってきたのだ、と強調し続けた。