阪神・淡路大震災のとき
『取り返しのつかないものを、取り返すために』(岩波ブックレット)
内橋克人「不安社会を生きる」
阪神・淡路大震災のとき、私は、生家が倒壊いたしました。震災の二日後に被災地に入り、それからの現実をずっと目に収めました。いつまで待っても、公的支援の手は、やってまいりませんでした。最後まで……。そこで、みなさんもご存じの、九条の会をおやりになっておられた小田実さんはじめ、市民みずからが立ち上がって、災害といえども、人間としての基本的な人権は侵されてはならない、とやむなく声を上げたのです。
「ひょっこりひょうたん島」のモデルのひとつになった蓬莱島が、岩手県大槌町の沖合にあります。
小林(秀雄)はもう悲しい人間でも不幸な人間でもない。彼が見ているのは、たかが人間の孤独の相にすぎないので、生きる人間の苦悩というものとは、もう無縁だ。そして満足している。骨董を愛しながら。鑑定しながら。