柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

目的論的、交換的

大澤真幸『量子の社会哲学』(講談社

 目的論的な性格は、エンペドクレスに端を発し、アリストテレスも継承した四原資説にも浸透している。地上――厳密には「月」より下の世界――を構成する原資は、四つある、とされた。「土、水、空気、火」の四つだ。

 デモクリトスによれば、物質は、これ以上分割できず、内部構造をもたない単位としての原子より成る。この物質観の特徴は、原子と原子の間に何もない隙間が残存することである。

 デモクリトス説は、古代は空虚の存在を無視していたとする、ここまでの論述への反例ではないか。他方、アリストテレスの説では、物質界は四種の原資の組み合わせから成っており――先に挙げた二組の性質を操作することで原資間の移行が可能とされた――、空虚の存在は許されない。


柄谷行人は、エンペドクレスの四元論は
自身の4つの交換様式の議論を先取りしたものだと言っていた。
最近の「哲学の起源」では、イオニア哲学を否定した
プラトンアリストテレスによる国家の為の目的論的な哲学が
現在まで世界的な主流となって資本主義の発達をもたらしたが
それは限界に来ている。この状況を解決する為には
目的論的でないイオニア哲学の再評価が必要である。
と言っている。
しかし、柄谷氏の『世界共和国へ』『世界史の構造』からの
交換様式の議論を考えてみるとどうだろう。
エンペドクレス=アリストテレスの四元論と同様、目的論的ではないだろうか。
古今の哲学・思想をイオニア哲学的か否かに分類しようとするのも。


この世界の「実体・本質」的存在が何であるかを考察する「存在論」に対して、「目的論」は、人間を含む諸存在が、(究極的に)どこに向かって(何を目指して、何(どのような状態)を達成・実現すべく)存在・活動しているのかを考察する。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%AE%E7%9A%84%E8%AB%96