柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

ヴァーグナー『芸術と革命』序文

ヴァーグナー "Gesammelte Schriften und Dichtungen" 『芸術と革命』序文

しかし私は、私がこの――同じフォイエルバッハの著作から彼が使っているのと同じ意味で借りてきた――エゴイズムとコミュニズムの対立という指標について、ここで私のなかに生まれてきている全エネルギーを傾注して立ち入るつもりのないことは否定しない。たとえ私の中でこの概念によってひとつ社会政治的な理想が原理として生じたとしても、そしてその原理に従って私が先史時代の原始共同体の比類ない生産性という意味で「民族」を捉え、このもっとも完璧な尺度が未来のあらゆる共同体の本質として生み出されたと考えるにしても、である。