柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

ルネ・ジラール『世の初めから隠されていること』(法政大学出版局)

sasaki_makoto2008-10-02

人間はいつも偶像の陰に、すなわち自分たちに固有の神聖化した暴力の陰に、平和を見出してきた。そして今日でもなお、究極の暴力の庇護のもとに、人間はそうした平和を探し求めている。絶えず非神聖化してゆく世界においては全体的、直接的な破壊という永続的な脅威のみが、人間たちの相互破壊をくい止めているのである。要するに、暴力が爆発するのをくい止めているのは、常にまさしく暴力なのである。