柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

三島由紀夫「自由と権力の状況」

三島由紀夫「自由と権力の状況」『自由』昭和四三年十一月

今度のチェコの事件は、その点で宗教と政治の接点を暗示する興味ある事件であり、西欧の異端糺問の精神が理解されない人間には、この事件は理解されない。カトリックは、このような人間の保護者であったからこそ、異端糺問に対してはあのような加虐性を発揮したのであった。一方われわれが一切加虐性を発揮しない「甘い政府」を期待する時には、その政府から一切われわれに対する保護を期待してはならない。