柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

田川建三『イエスという男』(作品社)

田川建三『イエスという男』(作品社)

 処女マリアから生れた、というのも、エルサレムの近郊ベツレヘムで生れたというのも、同時期に作られた伝説である。キリスト紀元五十年代に、つまりイエスの死後二十年ほどたってから著作しているマルコやパウロは、まだこんな話は知らない。どちらもキリスト紀元八十年ごろにできた伝説なのだ。聖の理念が処女に結びつく。これは社会思想の問題だろう。


田川建三
新訳聖書学者。1935年東京にて生。
主な著作
『原始キリスト教史の一断面』(1968年、勁草書房
『歴史的類比の思想』(1976年、勁草書房
『マルコ福音書(註解)』上巻(1997年増補改訂版、新教出版社
『書物としての新訳聖書』(1997年、勁草書房
(編集)『聖書』(日本の名随筆、別巻100、1999年、作品社)
キリスト教思想への招待』(2004年、勁草書房)ほか。
http://www6.ocn.ne.jp/~tagawakn