柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

世界政府の理念

ジョヴァンニ・アリギ『長い20世紀』(作品社)

私は、世界史的分析というブローデルの船から飛び降りずに、そのまま船に乗っていくことにした。

世界史の事実の公海を進んでいくことは、ブローデルにしてもらうことにした。

そこで、四つの蓄積システム・サイクルを論じることになるが、それぞれのサイクルで、世界的規模の資本蓄積過程の中心的主体と構造が基本的に一貫していることが特徴的である。四つのサイクルとは、一五世紀から一七世紀初期のジェノヴァ・サイクル、一六世紀後期からほぼ一八世紀全体のオランダ・サイクル、一八世紀後半から二〇世紀初めのイギリス・サイクル、および一九世紀後期に始まり、現在の金融拡大局面に至るアメリカ・サイクルである。

スミスは、のちの時代のマルクスと同様に、ヨーロッパによるアメリカの「発見」と、喜望峰経由の東インド航路の「発見」に、世界史上の決定的分岐点を認めた。

それは、軍事産業に向けられる資源が不断に増加し、あわせて/または、資本主義企業が余剰分を収奪し、このような余剰分を利潤に移し替えるところの生産・交換ネットワークの分断が、不断に増えるからである。

もしも、資本主義企業が生産・交換の緊密な国家横断的ネットワークに取り込まれている場合には、諸ネットワークが個別の政治的支配権に分節していれば、非資本主義的制度との関連で、すべての資本主義企業の競合的位置に致命的影響が及ぶかもしれない。

 この制度とは、一方では、平和への普遍的な願望にアピールする力をもち、他方では、貧困な諸国民が独立と進歩を求める願望、そして最終的には豊かな諸国民との平等を求める彼らの願望にアピールする力をもつ、国際連合であらねばならなかった。


マルク・ブロック

今日、産業社会でストライキがあるように、近代初期のヨーロッパでは、農民反乱が共通のことであった。


Schurmann

 初めて世界史において、世界政府の理念が具体的に制度化された。国際連盟を主導したのは、本質的に一九世紀的な国際会議の精神であったが、国際連合を主導したのは、明白にアメリカ的な政治理念であった。
しかし、国際連合は、政治的理念であったし、いまでもそうである。(Shurmann 1974: 71)


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