世界のうちの存在
そして、この態度がもっぱら支配的態度となっているかぎりでは、「真の存在」「現実的存在」すなわち実在的存在といった諸概念は、また――すべての実在的なものは世界という統一に統合されるわけだから――「世界のうちの存在」という概念でもあるわけで、これらの諸概念はたがいに合致することになる。
ジュリア・クリステヴァ "Σημειωτικη: Recherches pour une semanalise"『記号の解体学――セメイオチケ1』(原田邦夫訳、せりか書房)
La compatibilite de l'axiome du choix et de l'hypothese generalisee du continu avec les axiomes de la theorie des ensembles nous place au niveau d'un raisonnement a propos de la theorie, donc dans une metatheorie (et tel est le statut du raisonnement semiotique) dont les metatheoremes ont ete mis au point par Godel.
選択公理および一般連続体仮説が集合論の諸公理と両立しうるものなら(*3)、われわれは理論に関する推論過程のレヴェルに、したがってメタ理論(これが記号論的推論のあり方である)のなかに身をおくことになる。そして、そのメタ定理はゲーデルが明らかにしたのである。
この証明は、ある体系の矛盾を、その体系内で形式化した手段によっては指摘できないことを述べたゲーデルの証明に近いものである。
アラン・ソーカル、ジャン・ブリクモン
『「知」の欺瞞 ポストモダン思想における科学の濫用』(田崎晴明・大野克嗣・堀茂樹訳、岩波書店)
日本語版への序文
ゲーデルの定理とか相対性理論が社会の研究に直接的で深い意味を本当に持つとすれば、(われわれ数学者や物理学者には)素晴らしいことではないだろうか。
全員のお名前を挙げる余地はないが、特に、内井惣七、黒木玄、津田一郎、野家啓一、濱田寅彦、三中信宏、山形浩生(五十音順)の各氏にはこの場で改めて感謝する。
(*3) 数学についていえば、これらは実際に両立しうることが、ゲーデルによって示されている。(これは、有名なゲーデルの不完全性定理(註44)とは別の業績である。)(略)クリステヴァも、両立しうることを念頭において書いていると推測される。
(42) これは、ゲーデル=ベルナイスの集合論(公理的集合論の一種)における専門的な結果である。
(43) ロートレアモン(一八四六―一八七〇)が(一九三七年と一九四〇年の間に展開された)ゲーデル=ベルナイスの集合論の定理、あるいはそれどころか集合論そのもの(これは、一八七〇年以降カントルらによって展開された)の定理を「自覚して実践した」ということは、かなりありそうにない。
ゲーデルは、クリステヴァがいっていることとはちょうど正反対のこと、つまり、ある公理系の中で形式化できる論法を用いる限りは、その公理系自身の無矛盾性を示すことができないことを証明したのである(44)。
(44) ゲーデルの有名な論文(Godel 1931)では、数理論理学におけるある種の(自然数の体系を記述できる程度に複雑な)形式的な公理体系の不完全性についての二つの主要な定理が証明されている。
Nagel and Newman(1958)はゲーデルの定理についての優れた入門書である。
こういった主張を支持する例としてもっともよく挙げられるのが、量子力学とゲーデルの定理とカオス理論である。
ゲーデルの定理に軽く触れた後、リオタールは原子物理学と量子物理学における予言の限界という問題を取り上げる。
(169) ゲーデルの定理や集合論の独立性定理のようなメタ定理は、通常の数学の定理とは少し異なった論理的な地位を占める。
ゲーデルの定理、超限基数の理論、リーマン幾何学、量子力学などなど。
黒木玄 http://www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/Sokal/index-j.html
アラン・ソーカル http://www.physics.nyu.edu/faculty/sokal/
文献情報・訂正 http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/fn/errata.html
山形浩生氏と84年に札幌・定山渓のSF大会で話をしたかもしれない。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%BD%A2%E6%B5%A9%E7%94%9F