柄谷行人を解体する

批評家・柄谷行人を―カント、マルクスを視軸にして―読む

2010-01-01から1年間の記事一覧

吉本隆明と柄谷行人

合田正人『吉本隆明と柄谷行人』(PHP 新書,近刊) http://gcoe.hus.osaka-u.ac.jp/101009symposium.pdf戦後思想を検証する − 吉本隆明と柄谷行人 明治大教授 合田正人 戦後日本の思想界をリードしてきた指導的思想家として、吉本隆明(1924-)と柄谷行人(…

atプラス 06 『世界史の構造』を読む

柄谷行人/大澤真幸/苅部直/島田裕巳/高澤秀次 いとうせいこう/斎藤環/磯崎新/佐藤優 岡崎乾二郎/山本理顕/染谷昌義/山折哲雄/山下範久/岩根邦雄/鈴木一誌 山田慎也/鎌仲ひとみ/堀内進之介 http://sinkan.net/?asin=4778312384&action_item=true

船の構造

池橋宏『稲作渡来民』(講談社選書メチエ)0−2図 河姆渡(かぼと)遺跡の住居跡 古代の越の都「会稽」の近くで発掘された、紀元前5000〜前4000年の稲作集落。高床式の住居は今ではタイ系の人々の間で見られる越人の後、『史記』の「始皇本紀」によ…

国家の為に

小林秀雄「文学と自分」 戦が始まつた以上、何時銃を取らねばならぬかわからぬ、その時が来たら自分は喜んで国家の為に銃を取るだらう、而も、文学は飽く迄も平和の仕事ならば、文学者として銃を取るとは無意味な事である。(『中央公論』一九四〇年) 戦が…

チベットへの憧れ、「鏡」としての歴史

仏教と西洋の出会い [著]フレデリック・ルノワール 今枝由郎・富樫瓔子訳 トランスビュー ¥4,830[評者]柄谷行人(評論家) 朝日新聞 2010年10月24日 http://book.asahi.com/review/TKY201010260202.html ブッダの輪廻転生批判 http://lastinghours.jugem.jp…

模倣と創作の差異について

山城むつみ『文学のプログラム』(講談社文芸文庫) 一九四八年に発表された「『罪と罰』についてII」は小林(秀雄)の批評作品の中でも「名篇」といわれる。 手法が愚鈍というのは、原作の第三編の最後部分のディテールがそのまま――原作と比較してみるとい…

贈与と力

モース『贈与論』贈与された物のなかにはどんな力があって、受贈者はそれを返すよう促されるのか。 バタイユ『呪われた部分 1 消尽』贈与はそれを行なう主体を超越する力を持つが、しかしそうやって贈られた物と交換する仕方で、主体はそういう超越を我が物…

革命と引用

ベンヤミン「歴史の概念について」 フランス革命は古代ローマを、流行が過去の服装を引用するように引用した。(I-2, 701) ロベスピエールにとっては、古代ローマは、今をはらんでいる過去であって、それを彼は、歴史の連続性から叩きだしたのである。(第…

『日本国憲法9条』を実現すること 山口二郎 柄谷行人

資本・国家・戦争に依存しない社会の形成に向けて 2010年12月12日(日) 10時30分 静岡県 舞台芸術公園 屋外ホール 楕円堂 http://spac.or.jp/news/?p=2288 柄谷行人「俳句から小説へ 子規と虚子」 『道の手帳 正岡子規』 河出書房新社 The Praxis and Pedag…

回帰と反復

マーティン・ジェイ『アドルノ』(岩波現代文庫)あるいは、このことを彼の歴史哲学の用語で述べてみるなら、アドルノはたとえその歴史哲学がどれほどニーチェ風なものに見えたにしても、回帰が永遠に続くといったような信仰にはけっして屈服しなかったであ…

三三七拍子、チチチ、レレレ

田中希生 盗みと贈与――世界史にとって、交換の視座は有効か? http://www.fragment-group.com/kiotanaka/criticism/2411.html 石井知章『K・A・ウィットフォーゲルの東洋的社会論』(社会評論社)だが、劉暁波によれば、これらの論理とは、見かけとは「正…

正確という病

ヴァレリー『テスト氏』(小林秀雄訳) 僕は正確という烈しい病に悩んでいた。理解したいという狂気じみた欲望の極限を目がけていた。 ヘーゲル『論理学』第II巻「目的論」 けれども目的がじぶんを客観との間接的な関係に置き、じぶんと客観とのあいだに他の…

磯崎新・柄谷行人・伊東豊雄・浅田彰「情報・空間・建築」

磯崎新・柄谷行人・伊東豊雄・浅田彰「情報・空間・建築」 『Any:建築と哲学をめぐるセッション 1991-2008』(鹿島出版会)伊東★ イチローの場合は、そういう情報空間をもう身体的につくりあげている。伊東★ だから、磯崎さんが仙台のメディアテークのコン…

バンド(血縁社会)、部族、首長制、国家

コリン・レンフルー『先史時代と心の進化』(ランダムハウス講談社) 最近では、進化人類学者のマーシャル・サーリンズやエルマン・サーヴィスが、社会はバンド(血縁社会)、部族、首長制、国家という段階を経て進化すると唱えているが、これにも同様の批判…

■一日を再現、積年の疑問解けた

古代ローマ人の24時間―よみがえる帝都ローマの民衆生活 [著]アルベルト・アンジェラ 河出書房新社,2520円朝日新聞 2010年10月10日 [評者]柄谷行人(評論家) http://book.asahi.com/review/TKY201010120061.html『古代ローマ人の24時間』が面白そう h…

中心、周辺、半周辺

石井知章『K・A・ウィットフォーゲルの東洋的社会論』(社会評論社)したがってウェーバーにとっては、アジアにおける中間団体としての非政府的勢力の欠如が必ずしも専制勢力の存立そのものを基礎づけていたわけではなかったのである。すなわち、非政府勢…

危機の時代のキリスト教 佐藤優・柄谷行人

「佐藤優とキリスト教」VOL.2 危機の時代のキリスト教日時:2010年11月15日〈月)18:30開演/18:00会場 場所:新宿 紀伊國屋ホール 講師:佐藤優・柄谷行人 第一部 佐藤優 講演 第二部 佐藤優×柄谷行人 対談現代は危機の時代である。だが実は、危機は常にそ…

1Q84 ドクトル梅津バンド+浅田彰

石井知章『K・A・ウィットフォーゲルの東洋的社会論』(社会評論社)つまりウィットフォーゲルはここで、エーバーハルトが中国社会のもつ「アジア的」特殊性に目を配ることなく、西欧的な意味での「封建的」カテゴリーによって中国伝統社会を理解しようと…

世界同時革命 その可能性の中心

柄谷行人 奥泉光 島田雅彦 『群像』2010年11月号http://shop.kodansha.jp/bc/books/bungei/gunzo/index.html

グノーシス派の礼拝におけるオナニー

マックス・ウェーバー「「世界宗教の経済倫理」序説 比較宗教社会学的試論」 『宗教・社会論集』(林武訳、河出書房新社) 涅槃Nirwanaに入滅するのが仏教僧侶の確実な・無辺際な愛の感情、敬虔なヒンドゥー教徒のバクティBhakti(神に没入する灼熱の愛)も…

イスラム教は倫理的救済宗教か

マックス・ウェーバー「経済と社会」第二部第五章七節―十二節 『宗教・社会論集』(英明訳、河出書房新社)しかし、四〇日のあいだ肉を食べなかった男の人格を疑っている・この予言者の言葉や、あるいはまた、古回教において柱として重んじられていた――そし…

差異と抑圧

ユダヤ人のマルクス、フロイト、デリダにとって 抑圧や差異という言葉には 切実な意味があったのではないか。 レヴィナス『困難な自由』(法政大学出版局) 現代の無神論は神の否定ではありません。それは、『悲しき熱帯』の無差別主義(indifferentisme)で…

15世紀のトルデシラス条約によれば日本はポルトガル領

これに従い、ザビエルが日本に来た。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%A3%E3%82%B9%E6%9D%A1%E7%B4%84 「尖閣」の語源は、1845年、イギリス海軍軍艦サマランが釣魚諸島を測量し、釣魚島がキリスト教会の…

領土問題は存在しない

2004年3月24日 尖閣諸島・魚釣島に中国人7人が上陸、沖縄県警が逮捕 http://www.asahi.com/special/senkaku/OSK200403240036.html 速報!釈放判断したのは、やはり仙石!テレビ朝日が報道!仙石は、日本国民を騙した!何の説明もせず、「検察の判断」と検察…

一般意志と全体意志

ルソー『社会契約論/ジュネーヴ草稿』(中山元訳、光文社古典新訳文庫) こうして確立された原則から生まれる最初の帰結、そしてもっとも重要な帰結は、国家は公益を目的として設立されたものであり、この国家のさまざまな力を指導できるのは、一般意志だけ…

存在と本質

レヴィナス『存在の彼方へ』(合田正人訳、講談社学術文庫)の 存在は essence の訳であるという。exist ラテン語 existere 不定詞語尾) essence ラテン語 essentia 「存在すること、本質」 実存主義 (Existentialism) とは、人間の実存を哲学の中心におく思…

1254年 日蓮宗本山・藻原寺 創建

茂原で西から東に流れる一宮川沿いを歩く事が多いが 江戸時代の四谷から御茶ノ水かなと思う。 伊藤仁斎の漢文は中国でも評価が高かったという。 梅棹忠夫『狩猟と遊牧の世界 自然社会の進化』(講談社学術文庫) 農耕は、すでに自然社会においておこなわれて…

ことばが祈りもとめる他者

レヴィナス『全体性と無限 外部性をめぐる試論 上』(熊野純彦訳、岩波文庫) それは事実の偶像崇拝、言い換えれば語らないものに対して祈ることがであるとともに、意味づけと神秘化にあって乗り越えがたい多元性を示すものにほかならない。 けれども表出の…

他人の妻と性行為をおこなっても

G.ドゥルーズ『スピノザ 実践の哲学』(鈴木雅大訳、平凡社ライブラリー)それからまた、他人の妻と性行為をおこなっても、その行為がそれ自体としてもつ積極性においては自分の妻とおこなう場合となんら変わりはない以上、悪もまた善と同様なにがしかの価…

ユダヤ人はイエスを処刑したか

一九四七年八月 ゼーリスベルクの十箇条 二、イエスはダヴィデの家系のユダヤ人の母から、ユダヤの民から生まれたということ、イエスの永遠の愛と赦しはその民と世界中の人々を包み込んでいるということを思い起こさせること。 七、イエスを処刑したという汚…